異常な暑さは陸だけではなく、海の中でも起こっているというのは、南米の海水温が異常に高いエルニーニョ現象や同じ地域で異常に低いラニーニャ現象で証明されている通りです。
その異常な海水温度が漁業にも深刻な影響を与えています。
北海道南西部、函館のある道南地方では、イカの水揚げが最盛期(旬)を迎えるそうで、生きたままのイカを関東圏などへ直送するために、にぎわっている時期でもあります。
ところが、今年は海水温の異常な高さ(8月の水温は平年より3゚C高いとのこと)で漁場で獲ったイカが陸に上がる前に漁船のいけすで死ぬ事態が相次ぎ、新鮮なイカが提供しにくい状況に追い込まれています。もちろん、死んだイカも提供できないわけではないですが、調理法が限られてしまうのは言わずもがな。状況によってはアンモニアを発生させるため、食に適さない時間がすぐに来てしまうわけです。
いけすに入れたイカの死亡率は今年は最大で3~4割に達する事態にもあり、新鮮なイカを確保できないと判断した函館市の漁協は9月から行っている人気商品「いけすイカ」の提供を10月からにすると発表しました。しかしながら、今後も異常な海水温の上昇が続けば、10月でさえも危ないわけで、関係者は気を揉んでいることでしょう。
ちなみに、こういったイカ捕獲後の異常海水温での死亡というのは、去年も起こっていたのですが、ここまで大事になる事態は初めてとのこと。いかに今年の猛暑が酷いというのがわかります。
この異常海水温は釧路を中心とした北海道の東部、道東地方でも起こっています。
ここでは例年夏には滅多に獲れないはずのクロマグロが、ここ数ヶ月で150匹以上獲れるという異常事態。漁業関係者は悲喜こもごもな状況になっているとのことだそうです。まぁ、獲れるべきものが獲れない(注:この時期はサンマが獲れ始める)のに、思ってもないものが獲れるわけですからねぇ・・・。
今後もこの事態が続けば、旬を大事にする日本人の味覚にも大きな影響を与えるんじゃないかと思えて残念でなりません。旬を味わうことは季節を味わうことという日本人の美的感覚にも影響をもたらしかねない今回の事態。温暖化の解決方法がいまだ確立されていないので、早く事が過ぎ去るのみ・・・というふうでしかないのが至極悔しいですね。