2017年02月20日

大胆な早業だった

2/14に暗殺(毒殺)された北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の腹違いの兄で金正日(キム・ジョンイル)総書記の息子である金正男(キム・ジョンナム)氏。その後、実行犯とされるベトナム国籍と称する女性・インドネシア国籍の女性とその交際相手でマレーシア人の男性(この事件に直接関与していないものと思われる)、そして、マレーシアの製薬会社ないしは健康食品を販売する会社に勤める北朝鮮出身の男性が相次いで捕まったものの、工作員と見られる北朝鮮国籍の4人(いずれも男性)は未だに逃亡中で、インドネシア・ドバイ(アラブ首長国連邦)・ウラジオストク(ロシア)を経由して北朝鮮に帰国したとされています。捜査のかく乱とも中国を経由すると中国当局に取り調べを受ける可能性があるため中国を敢えて避けたともされています。


その金正男氏が暗殺をされる瞬間がクアラルンプール国際空港の監視カメラに映っていたことがわかり、公開されました。
その映像によれば、金正男氏がエアアジアの自動チェックイン機を操作しようとしている時に、背後からベトナム国籍と称する女性が背後から迫って、金正男氏の顔を覆い、手に付いている何か(恐らく毒物)を塗りたくり、正面にはインドネシア国籍の女性が立ちはだかるように立っている姿が映っていました。なお、ベトナム国籍と称する女性はインドネシア国籍の女性が走って逃げるのとは対照的に、落ち着いた感じでその場を去り、その後ガッツポーズとも取れる姿をしているのが映っており、手には手袋のようなものを付けているのが確認できるとのこと。まぁ、毒物を持っていたのなら、手袋くらい付けておかないと、その人自身も死んでしまうからね・・・。


何より驚いたのが、衆人環視の中で堂々とかつ大胆に行われたということ。しかも2秒で決めたのですから、そりゃ工作員の仕業と言われるわけですよ。でも、実行犯は素人の可能性も高いです。というのも、彼女達は(日本の)いたずら番組に出演するという触れ込みで工作員達にスカウトされ、何日も『リハーサル』を行っているからです。入念に行っていれば、素人でも簡単に殺害できるでしょうし、普通に何事もなく行っていれば、周りも気付かないものなのだなと思えるのです。


これで北朝鮮が犯行に関わっていることがほぼ確実になってきたわけですが、当の北朝鮮は、キム・チョルとされる遺体をすぐに引き渡せの一辺倒な回答ばかり。しびれを切らして、マレーシアと合同で調査しようと持ち掛けるなど、あの手この手で金正男氏の遺体を持ち返ろうと躍起です。
死因も特定できない(特定できたとしても発表できない)中、家族にではなく北朝鮮に渡せば、闇に消されることは明らか。意地でも渡さない姿勢を貫いた方がいいと思います。外交問題になろうとも国交断絶になろうとも北朝鮮との関わりが無くなっても、大きなマイナスになることは現状考えられないですから。
むしろ国際社会がもっとこの問題で動くべきです。静観している中国がどう出るか、トランプ政権の中で起こったこの事件で、アメリカはどう対応するのかで、今後の展開が大きく変わることでしょう。北朝鮮の犯行の可能性がほぼ確実になってきた恐らく国連も動きます。この一件を一刻も早く国際問題にして、北朝鮮に一泡吹かせるくらいしないとまずいでしょう。


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Posted by alexey_calvanov at 23:56Comments(0)TrackBack(0)

2017年02月15日

正男、死す

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の最高指導者である金正恩第1書記の異母兄で、金正日総書記の息子である金正男(キム・ジョンナム)氏マレーシアのクアラルンプール国際空港で何者かにより殺害されました。


金正男氏は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男ということで、後継者レースの筆頭に付いていたのですが、偽装パスポートで日本に入国しようとしたのがバレたことで、金総書記の怒りを買い、候補者レースから脱落したと言われています。また父親である金総書記に反抗的だったからという説もあり、かつ父親に性格などが似ていることから三男の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の方が金正日総書記のお気に入りだったという説もあります。

候補者レースから外れた後は、家族と共に中国の保護下に置かれたとされており、張成沢(チャン・ソンテク)氏の後ろ盾もあったとされています。しかし、張氏は2013年に処刑され、北朝鮮での政治的影響力はほとんどないとされていました。ただ、金正恩氏が最高指導者に就任したことで、元々不仲だったこともあって、かねてから暗殺説が飛び交っており、それを恐れた金正男氏は、マカオを拠点としながらもオーストリアなどヨーロッパ諸国やシンガポールなどを移動していたとも言われています。
そして、2/14にマレーシアからマカオに戻る途中に女性2人組により毒殺(毒針を刺されたとも毒物を巻かれて口を塞がれたとも言われており、情報が錯綜している)されました。


まず、なぜ殺されたのかというのが大きな疑問になっていることでしょう。
政治的な影響力はほとんどない、後ろ盾である張氏は既に殺されているとはいえ、彼の発言力や行動力は金第1書記には脅威であるとされました。また、北朝鮮の体制(一族3代にわたる最高指導者の襲名)に批判的だったり、中国の改革開放路線に舵を切るように再三述べていたことも、現状維持を是としていた金第1書記と相反しているとも言えます。また先述の通り、不仲だったので殺したということも考えられるでしょう。
もう一つ考えられるのは、国内の幹部への統制目的で殺したという見方です。最近では最高クラスの外交官が韓国へ亡命したという事態もあったり、金正男氏自身も韓国への亡命を試みようとする話が伝わっていたりと、北朝鮮の足元が揺らぎかねない事態が相次いでいましたこれ以上の体制の揺らぎを避けるために手を打ったとも言えるわけです。
それに絡んで、私自身は金第1書記の幹部が、得点稼ぎでやってしまったのではないかという推測もしています。目の上のたんこぶである金正男氏を殺してしまえば、金第1書記に取り入れられるのではないかということで、暗殺に動いたというふうにも考えられるのです。金第1書記の命令が無いとできないという見方もあるものの、不仲説が事実であれば、それが無くともGOサインが出ていたと思います。


そして誰が殺したのかというのは、北朝鮮の工作員であることは間違いないでしょう。過去に飛行機を爆破したり、スパイ活動を行ったりしていることから、彼らの犯行は明白です。監視カメラに映り捕まった女性以外にも男性2人などが周りにいたということから、5・6人くらいの体制で動いたのではないかと思われます。


金正男氏は、かなり気さくで見識が深い人ではありましたが、北朝鮮に何らかの関わりのある以上、ご冥福・・・とは言えないですわね。ただ後継者レースから外れた後は、哀れな人生だったと思います。国に帰りたくても帰れない、帰れたとしても安心して過ごせない、あまつさえ関係の無い家族も巻き込まれているわけですから、できる限り家族は守ってあげてほしいと後ろ盾をしているとされる中国には求めたいものです。


少なくとも、北朝鮮の終わりの始まりが来ているとも感じられますし、金正男氏を擁護していた中国がどう動くのかが今後の情勢の大きなキーとなるでしょう。


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Posted by alexey_calvanov at 23:59Comments(0)TrackBack(0)