マンガ家の鳥山明さんが、3/1に急性硬膜下血腫のため亡くなっていたことが、少年ジャンプの公式サイトなどで明らかになりました。既に近親者によって葬儀等は済ませているとのこと。
鳥山さんは愛知県清須市(旧清洲町)出身で、元々はイラストレーターとしてイラスト製作会社に勤めていました。しかし、そこをすぐに辞めて、週刊少年マガジンの懸賞を見て、連載漫画を投稿しようと思ったものの、締め切りに間に合わなかったため、ほぼ同じ時期に行っていた週刊少年ジャンプの懸賞に申し込んでいます。結果的には入選しなかったものの、その時彼のセンスを見抜いたのが、後に「Dr.スランプ」でドクターマシリトとして登場する鳥嶋和彦さんです。
なかなか売れない中でも、鳥山さんに陰日向でアドバイスを送り、その積み重ねでできたのが、「Dr.っスランプ」であり「ドラゴンボール」だったのです。共にアニメ化され、「ドラゴンボール」に至っては、最近新作も発表されています。
そして、鳥山さんといえば、ゲームの世界でも元職だったイラストレーターとしての側面を見出していました。最も代表的なのは、「ドラゴンクエスト」でしょう。今も続くシリーズですね。
「ドラゴンクエスト」では、当初はモンスターデザインを担当し、後にキャラクターデザイン全ての担当になりました(実際は当初から全てのキャラデザインを担当していたと思われる)。
一番有名なエピソードは、堀井雄二さんから依頼されたスライムの絵に関して。当初は、よくあるファンタジー世界で描かれるドロドロした粘体生物(実際に堀井さんのイラストもそれ)だったものを、タマネギ型でクリッとした目に半笑いの口の付いた、どこか憎めないものに仕上げられました。それが今、ドラゴンクエストシリーズのマスコットとして活躍しているのですから、鳥山さんの発想力・選眼力の高さを垣間見えます。
彼の描くモンスターは、ただ怖いだけでなく、愛嬌もあったり、おどろおどろしさもあったりとバラエティ豊かなんですね。見ていて飽きの来ないイラストなのも、鳥山さんがゲームをプレイする人達のことをよく考えているんだなと思わせてくれます。そして最新作の「ドラゴンクエストXII」が、すぎやまこういちさんだけでなく、鳥山さんの遺作にもなるだなんて・・・。
「ドラゴンクエスト」以外では、「クロノ・トリガー」も有名です。こちらは堀井さんの他にファイナルファンタジーシリーズの坂口博信さんもエグゼクティブプロデューサーとして関与していました。鳥山さんの好きだったメカイラストも多く描かれていたかと思います。
鳥山さんに関しては、プライベートを一切明かさない人で、メディアに出演していたのも1980年代あたりまで。なので、普段どんな生活を送っているのかは、よくわかっていませんでした。鳥山さんと仲の良い、とある芸人さんが、鳥山さんとのやり取りの中で、昨年末から身体の調子が悪いことを述べていたと明かしていたのが、最もわかっている要素だったのではないかと思います。
それでも、地元への貢献を果たしており、2018年には清須市の「図書館だより」で、鳥山さんが学芸員からのインタビューの依頼に応えています。最近では、清須市からの依頼で2025年に市制20周年を迎える同市のロゴを描いています。
日本のマンガ・アニメ・ゲームに多大な影響を与え、そして世界にも影響を与えた鳥山さんが、これほど早逝されるとは思ってもいませんでした。まだまだこれからだというのに、68歳で亡くなるのは、本当に早いです。心よりご冥福をお祈り致します。そして、彼の作品は永遠に不滅なのです。

