フジテレビ系はキー局を含め全国に28局(青森・山梨・山口にはフジテレビ系が無い)あり、うち大分・宮崎はクロスネット局になっています。
いわゆる系列局が戦々恐々として見ているのが、キー局であるフジテレビの問題で、元タレントの中居正広さんが起こした問題にフジテレビの社員が関与しているという話が出たためです。この一件で、フジテレビからスポンサーがCM契約を一旦引き上げ、ACジャパンに差し替えられる事態が出てき始め、75社以上に上っています。中には単独スポンサー番組の「ミュージックフェア」を提供する塩野義製薬・「みんなのKEIBA」を提供するJRA(日本中央競馬会)・「松岡修造のくいしん坊!万才」を提供するキッコーマンも含まれており、「松岡修造のくいしん坊!万才」に至っては、キッコーマンから放送見合わせを要請される事態になっています。
これに伴う違約金などの賠償は、中居さんが払うのか、フジテレビが全て払うのか、今後の状況はわかりませんけれども、かなりの額になるのではないかと思われます。そうなると、系列局に支払う広告分配金などが支払えるのかという部分も絡んできます。また関西テレビなど系列局の一部でもCM契約を一旦引き上げ、ACジャパンに差し替えられる事態が発生しています。系列局の一つである北海道文化放送・テレビ静岡では、声明まで出してフジテレビとは別法人であることやコンプライアンスは順守していることを強調する事態になっています。
ただ、このままの事態が続けば、系列局にとっては死活問題になります。
現状フジテレビ系28局のうち、在京4局(日本テレビ・TBSテレビ・テレビ朝日・フジテレビ)が揃っていないところにあるのは9局になります。状況によっては、福岡県・長崎県の電波が入ってくるサガテレビ・クロスネットのテレビ大分・トリプルネットのテレビ宮崎以外は、フジテレビ以外の在京キー局とのクロスネットになるのではないかと思われます。テレビ宮崎の場合は、フジテレビが外れるだけになり、日本テレビ・テレビ朝日とのクロスネットになるわけです。ただ、クロスネットを選択した場合、TBSテレビはJNNという報道関係のネットワークに関してはJNN協定というネットワーク協定があり、報道素材をTBS系列以外に譲渡してはならないというものがあるため、事実上テレビ朝日のみとしか組めないかもしれません。
そうなると、フジテレビのネットワークを捨てて、他の在京キー局を選択するという事態も考えられます。またフジテレビの問題が長期化ないしはフジテレビに自浄能力が無い、あるいはフジテレビにもしもの事態が起こった際も、この選択肢を採ることになるでしょう。
基本的には、先述の通りテレビ朝日とのネットワーク関係になると思われ、該当局は富山テレビ・山陰中央テレビ・高知さんさんテレビの3局になります。
その次にあるのが日本テレビとのネットワーク関係になると思われ、該当局はテレビ大分と沖縄テレビの2局になります。
TBSテレビとのネットワーク関係も秋田テレビが唯一該当する可能性が出てきます。
ここで挙がっていない中だと、福井テレビはテレビ朝日かTBSテレビのどちらかを選択する事態になるかもしれませんけれども、FBCテレビ(福井放送)が少量ながらテレビ朝日とのネット関係があるため、TBSテレビ系になる可能性が高いかもしれません。
テレビ宮崎は先述の通り日本テレビとテレビ朝日のクロスネット、サガテレビも前述の通り福岡県・長崎県の電波が入るため、独立局になるのか他のネット局に入るのかを模索することになるでしょう。フジテレビに最悪の事態が起こると既に在京キー局の揃っているところと同じく、放送局の維持に最も苦労するところになるかもしれません。
今後、フジテレビは第三者委員会を設置し、調査を進めるとしていますが、この結果次第でどう転ぶかわかりません。系列局としては、何としてもフジテレビに頑張ってもらって、ネットワークの維持を図って頂きたいと思っているに違いありません。はたして、どう出るのでしょうか。

