しかしながら、ラジオ離れが顕著な中、新しい担い手が名古屋の財界からは現れなかったというのも事実。それだけRADIO-iの残した負の遺産は大きかったのです。理想と道楽ではラジオはやれないと。
ところが、その風穴を開けようとしているところがあります。それは、かつてRADIO-iの所属していた外国語放送のネットワークMegaNetを率いる、事実上のキー局であるInterFM(エフエムインターウェーブ)。昨年秋、RADIO-iの閉局から2年1ヶ月経った10月30日、2014年春に名古屋に外国語放送を設立することを突如発表しました。当時はテレビ東京の傘下に置かれていた同局、この時は親会社だったテレビ東京が打ち立てたTXNネットワークの拡大(2007年)よろしく、結局は机上の空論ではないかと思っていぶかしがっていた人もいたことでしょう。
この時のロードマップでは6~7月頃と言われていたのですが、結局そこでは何も音沙汰もなく、やはり机上の空論だったのではと言われ始めた8/6、総務省に免許の申請を行っていたことが発表されました。この瞬間、名古屋をはじめとした東海地方に再び外国語放送開局への第一歩を踏み出したのです。
実は、この外国語放送は再び1からのスタートになります。
親会社であった興和に本局の放送施設があったのですが、それは既に撤去され、三国山にあった送信施設も撤去されています。唯一残ったのは周波数(79.5MHz)のみで、今後はこの周波数から発信されるものと思います。ただ、この周波数では岐阜方面の送信に大きな影響を与えかねず、仮に申請エリアの中に岐阜県が入るようでは、この周波数がネックになると思われます。というのも、岐阜にはRadio80(岐阜エフエム放送)というFM局があり、その周波数が80.0MHz。ステップ差がが0.5しかないため、混信が激しくなってしまうのです(関東圏の人なら、TOKYO FM(80.0MHz)とFM NACK5(79.5MHz)との関係が有名でしょう)。できることなら、混信の少ないエリアの周波数がもらえればと思っていますが、どうなんでしょうねぇ・・・。
そういう点では、放送エリア、RADIO-i時代の愛知・静岡なのか、それとも東海3県になるのか、あるいは最大限のエリアをもらえるのかがどうなるのかも気になるところです。
また、仮に申請が認められた場合、番組構成がどうなるのかも注目です。あくまでInterFMの名古屋支局として東京発と同じ番組を垂れ流すのか、(InterFMの比率が若干あるものの)独自の番組編成を任せてもらえるのか、そのあたりも気になるところです。
そして最大の注目点は、平時の際の番組構成です。
外国語放送である以上、外国語をメインにしていかないといけないのですが、それではメインターゲットになる日本人の聴取層が離れてしまいます。それゆえに、日本語のバラエティ番組を増やさないといけないわけです。つまりは日本語のみの放送をどのくらい認めるのかという点が今後の放送運営の焦点になるのです。
また、ラジオショッピングのようなCMの比率も気になります。今のラジオ番組は通常のCM以外にラジオショッピングやインフォマーシャル的なものが雑多に混ざり、現在聴取しているリスナーの中からもその混在ぶりに閉口しているとも言われています(要は聞く意欲を削ぐような放送が増えているという点です)。このCM・インフォマーシャルの比率を減らせば減らすほど、リスナーにとっては聞きやすい放送になるのですが、同時に経営面ではRADIO-i時代の二の舞になりかねません。どこまでCM・インフォマーシャルの比率を増やすか、新しい放送局はこのさじ加減で悩むことでしょう。
とはいえ、まずは総務省の申請が認められることが先決です。10月に発表されると言われるその結果を待つことにしましょう。
RADIO-iがモデルとなっている小説。閉局までの過程を描いているとされています。

